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ミナミヌマエビの産卵
とある11月中旬のある日です。何気なく、ミニ水槽を眺めていると、1匹のミナミヌマエビのお腹が下に膨らんでいて、なにやら黒い点が多数見受けられます。そのミナミヌマエビは、一生懸命に水をその黒い点に送り込んでいるのか、黒い点が水でかき回されています。
すぐに、この黒い点は「卵」だと思いました。
実際には11月~12月頃と、5月~6月頃の年2回産卵するようですが、水温が20℃前後で安定すると季節問わず卵を産みます。なお、産卵して稚エビが生まれると、また産卵と、1匹のメスが複数回産卵を繰り返します。
オス・メスの見分け方
ミナミヌマエビは2~3cm程度と、元々小さな生体なので、非常に分りにくいのですが、しっぽの裏のひだが長いとメス、短いとオスと判別できます。水中を泳ぐ時にヒラヒラさせるので、じっくり見てみましょう。繁殖期が近づいてくるとその特徴がよりはっきりします。また、一般的にメスの方がオスより一回り体が大きいです。
ミナミヌマエビの繁殖時期
調べてみると、水温が17℃~24℃くらいと低温の時期である11月~3月くらいにミナミヌマエビは繁殖するそうですが、小生の部屋内水槽では冬季でも室温がある程度あるためか、11月~6月くらいまで稚エビが誕生します。
ヤマトヌマエビと違って、ミナミヌマエビは淡水だけで繁殖可能な為、とくに何もせずに、ほって置いても産卵します。
大人のメスエビの背に白い筋が入ると卵を産む状態へ変化する為の脱皮をします。脱皮するとフェロモンを出して、そのニオイに誘われてオスが寄ってきます。交尾するとフェロモンを出さなくなるそうです。
産卵は足場がしっかりした場所にて2~3時間掛けて1個1個卵を産み、抱卵します。
水草などに卵を産み付ける訳ではありません。抱卵=卵を母エビのおなかに抱える感じで、孵化するまで、母エビが卵を守ります。
約20~30個程度の卵は、メスのおなかの下に抱卵され、時折メスは足を使って卵に新鮮な水を送り生まれるまで自分で面倒を見ます。
一説によると満月の夜に産卵することが多いそうです。なお、抱卵に失敗した卵(母エビから離れてしまった卵)は孵化しません。
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ミナミヌマエビの孵化
卵は水草などに付けられるのではなく、ミナミヌマエビのお母さんのお腹の下に抱卵された状態で育ち、水温にもよりますが2~4週間で孵化します。無精卵だと孵化しません。
抱卵直後は卵は黒いです。日がたつにつれて、だんだん卵の色が薄くなってきます。卵の透明度が増して、卵の中に「眼」が見えるようになると孵化は近いです。
オレンジ色になって水底に漂っている場合など、脱卵してしまった卵は★と言う事です。脱卵の原因は、急激な水質変化による母エビの脱皮が主な原因です。
抱卵中は大幅な水換えなどで水質をいじらないよう注意しましょう。
ミナミヌマエビの稚エビ
お母さんエビから卵がなくなった事を発見すると、稚エビも確認できる日がきます。孵化してから1~2日経過すると、水槽内で泳ぐ稚エビをガラス面やウィローモスの影などに発見できるはずです。ただ、とても小さいので気をつけて観察しないと気がつきません。
生まれた稚エビは体長1.5mm~2mm程度ですが、生まれたときから親と同じ形をしています。
ガラス面やウィローモスなどについたコケを食べたり、水中のプランクトンを食べたりしますので、日光に水槽を良くあてると良いです。
稚エビの数が多い時は、熱帯魚用などの稚魚用エサを少しだけ沈めてあげましょう。たくさんは必要ありま゛せん。ほんの少しだけ・・。
ちなみに、お母さんエビは子供を食べません。しかし、他のミナミヌマエビや金魚などはパクパク食べます。その為、ウィローモスなど稚エビが隠れる事ができる場所を設けることが大変重要です。
単純に増やしたいのであれば、お母さんエビ以外と稚エビの同居は好ましくありません。
なお、ミナミヌマエビは小さいので捕獲するのはとても困難です。どうしても捕まえたい場合は、プラスチックのコップなどに水槽の水を入れた状態で、水面にプカプカと斜めに浮かして、コップ内に「エサ」を入れておくと勝手に集まります。ただし、金魚などと同居してる場合は、金魚などがコップ内に侵入しない工夫をしてあげて下さい。
ミナミヌマエビの赤ちゃんだけを捕獲する場合は 黒い布を水槽内に入れて、光を当て、しばらくして黒い布を引き上げれば稚エビも取れます。光による逃避行動の習性を利用するのです。
ミナミヌマエビを増やす場合の飼育方法
ミナミヌマエビを増やすには、原則として他の魚と同居させてはいけません。どうしても稚エビが食べられてしまいます。
経験からミナミヌマエビの繁殖成功方法としては2通りあると現在のところ考えております。
理由としては水質です。小生の場合は、飼う水槽の水質により繁殖方法を分けて考えております
ミナミヌマエビの生育には弱酸性のpH6.8がベストで許容範囲はpH6.5からpH7.5です。
ミナミヌマエビは水質が変わったり、ストレスを感じると「脱皮」が早まります。抱卵したお母さんミナミヌマエビが急激な水質変化により脱皮してしまうと、卵も一緒に落ちてしまい、孵化しないと言う状況になります。
その関係で、現在のところ「水質が安定」している水槽での繁殖方法と、「水質が不安定」な水槽での繁殖方法の両方を参考までに掲載させて頂いております。
水質が安定している場合
基本的に水質が安定すると言うのは、45cmや60cmなどの水槽で、立ち上げてから数ヶ月経過している必要があります。
水の量が多いほど、安定しやすく、悪くなるとしても水質変化が緩やかなので、繁殖目的であれば、できる限り大きな水槽が良いでしょう。最近はイロイロな水槽がでています。スリム水槽の上に、更に水槽を1つ追加できるスレンダー水槽も人気です。
単純にミナミヌマエビを増やしたいのであれば、抱卵したメスを単独で別の水槽に入れて「隔離」しましょう。その際、水は元の水槽の水を100%新しい水槽にそぞきます。元の水槽には足りなくなった分の新しい水を入れて補充しましょう。
市販されているもので産卵用ネットがありますが、ネットだと網で中の状態が見えないのでつまらないです。
水槽内に設置する産卵用ケースもありますが、もし、稚エビがケースから水槽に出ると他のミナミヌマエビや魚などに食べられてしまうのは必定ですし、魚などが同居している水槽では、稚エビのエサとなるプランクトンも少ないでしょう。
その為、小生としては、小さくても良いので、別の水槽を用意しています。
小生が用意した別の水槽には、ジャリをひきウィローモスを中心に水草を入れて、水作の水作ベビーエアフィルターミニをろ過装置として投入。エアーポンプから空気を分岐しています。
このようにろ過装置を使用する場合は、稚エビが吸い込まれないよう、スポンジフィルターが必須です。
また、ウィローモスまたはリシアは多めに入れておきましょう。
ただし、この場合だと、自然界の摂理に反しますので、たくさん増えます。増やしたいのであれば、ある程度大きくなるまで、稚エビは隔離して育てましょう。
なお、孵化後にお母さんエビを、他のミナミヌマエビがたくさんいる水槽に戻せば、あと1~3回前後、産卵を繰り返す場合があります。産卵を終えたお母さんエビは夏場までに★になります。
水質が安定しない水槽の場合
立ち上げて間もないなど、水質がpH6.8程度で安定していない水槽の場合、元々ミナミヌマエビがいた水槽をそのまま繁殖用に使う事がベストと言えると存じます。
抱卵中は急激にpHが変わってしまうような水換えは慎みましょう。その為には、エサの与えすぎに充分注意する必要があります。
ただし、孵化した稚エビは、自然の摂理とは言え、他の大人ミナミヌマエビなどに食べられてしまう率が高いので、隠れ家となる水草(ウィローモスなど)をできる限り多く水槽に入れておいて、生存率を高める工夫をしましょう。
大人ミナミヌマエビの数が過剰な水槽の場合は、稚エビが生まれた後、稚エビだけを別水槽に非難させて成長させる方法も一考です。その為には、予め別水槽を立ち上げておくなど工夫しましょう。
なお、水量が少ないと、水質はそれだけ急激に変化しやすいです。水質変化に弱いミナミヌマエビですので、可能であれば大きな水槽に変更したいところです。
一番簡単なミナミヌマエビの繁殖方法
色々と試しましたが、人工的に管理するには、毎日観察が必要など時間を掛けなくてはなりません。
よって、現在、小生は「自然繁殖」に完全に任せています。ようするに、環境だけ整えて、あとは自然に任せる繁殖方法です。
その誰でもできるミナミヌマエビ繁殖の環境整備は下記の通りです。
1.メダカなど、稚エビを食べる魚類を同居させない。
2.ウィローモスを多めに入れるなど、水草の茂みを多くして、稚エビが自力で生き残れるようにする。
3.大人のミナミヌマエビを20匹以上入れ、茶コケが無くなる水槽環境では沈降型のエサを少量、毎日与える。
同居させないためには、上記のようなメダカ用の産卵用品を応用させることができます。
以上で、勝手に卵が生まれて、稚エビが誕生し、成長してくれます。
ただし、稚エビが大人ミナミヌマエビになれるかどうかは「水質管理」が重要となります。
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